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メーティスは、ギリシア神話に登場する女神である。
名は知恵の意味。
叡智や思慮及び助言を意味する知性の神である。

ティーターン神族の末弟クロノスは
母ガイアの命を受けて父である
ウーラノスを倒し、神々の王となった。
しかし、その際にウーラノスによって
自身も同様に子に倒されるという予言を受け、
子が生まれるたびにそれを飲み込んだ。
クロノスの妻レアーはそれを悲しみ、
ガイアに相談して闇夜の外で末子ゼウスを産み、
石をゼウスと偽って持ち帰り、
それをクロノスに飲み込ませたために助かった。

ゼウスはクレータ島で育てられ、
成人すると母レアーと知恵の女神メーティスと共に、
食べられた兄姉たちの仇を打つことにした。
ゼウスはメーティスに命じ、
メーティスは自分の作った嘔吐薬を
ネクタール(神酒)に混ぜて
クロノスに飲ますことに成功した。
クロノスはまずゼウスと偽られて
飲み込んだ石を吐き出し、
続いてポセイドーン、ハーデース、
ヘーラー、デーメーテール、ヘスティアーと、
飲み込んだ際とは逆の順で彼らを吐き出した。
ただし、一説によればメーティスは関与しておらず、
ゼウス自身がクロノスの背中をたたき吐き出させたという。
そして、ゼウスは吐き出された兄姉たちと
力を合わせ、クロノスを始めとする
ティーターンとの戦いティーターノマキアーに勝利した。
この戦いにはティーターン神族の長兄である
メーティスの父オーケアノスは参加しなかったという。
その後、神々の王となったゼウスは
メーティスを妻として迎え入れた。
一説によればメーティスはゼウスの妻ではなく、
ゼウスから逃げ回った末に子を身ごもったとされる。
このことを知ったガイアとウーラノスは、
メーティスの子はゼウスよりも聡明で剛毅であり、
もし男児であったらゼウスの地位を
脅かすであろうと予言した。そのため、
ゼウスは祖父ウーラノスや父クロノスのように
子に権力を奪われることを恐れ、
用心のために父クロノスのように
メーティスを飲み込んだ。このことで
メーティスとゼウスは同化し、
ゼウスは知恵の神としても信仰されるようになった。
しかし時はすでに遅く、メーティスはすでに
懐妊しており、胎児はゼウスの頭部へ移って生きていた。
やがて子が生まれる月になると、
ゼウスは痛みに耐えかね、
リビアのトリートーニス湖のほとりで
プロメーテウスやヘーパイストス、
ヘルメースなどに相談し、ヘーパイストスに
斧で頭を叩き割るように命じた。すると、
中からすでに成人し、甲冑で完全に武装した
女神が飛び出した。これがアテーナーであった。
この後、メーティスはゼウスの体内で
善悪を予言するようになったという。