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ステュクスとは、ギリシア神話に
おいて地下を流れているとされる大河、
あるいはそれを神格化した女神である。
ステュィクス、スティクス、
ステッィクス等とも呼ばれる。
オーケアノスの流れの十分の一を
割り当てられている支流で、
地下の冥界を七重に取り巻いて流れ、
生者の領域と死者の領域とを峻別しているという。
ステュクスの支流には火の川プレゲトーン、
忘却の川レーテー、悲嘆の川コーキュートス、
アケローン川がある。
女神としてのステュクスは、
オーケアノスとテーテュースの娘で
オーケアニデスの長姉である。
また、クレイオスの息子パラスの妻で、
彼との間にニーケー、クラトス、
ゼーロス、ビアーをもうけている。
ティーターンの血族だが、
ティーターノマキアーの際には、
父神オーケアノスの勧めにより
子供達と共にいち早くゼウス側に寝返った。
その功績により、彼女はゼウスから神々を罰する
という特別な権限を与えられた。
オリュンポス山の神々は、
誓言をする際にイーリスにステュクスの
水を汲みに行かせる。神々は
これを飲んで誓言をするが、
もしこの誓言に背けば、
その者は1年間仮死状態に陥る。
さらにその後 9 年間オリュンポス山を追放され、
10 年目にやっと罪を許されるという。
このように、ステュクスの水には神々さえも
支配する特別な力が宿っており、
猛毒であるという説や、
逆に不死をもたらす神水
であるという説が唱えられている。
アキレウスも、母の手によって
この水に浸されて不死の体を手に入れたが、
母に掴まれていた踵の部分は
浸されず脆弱なままだったという。